失業保険と開業届は、出す順番を間違えると受け取れるはずのお金を失います。


- 失業保険と開業届の正しい順番
- 自己都合退職の給付制限の期間
- 退職後に必要な手続きの全体像
- 保育園を続けるための3か月の期限
- 再就職手当の支給率が変わる境目
結論からお伝えします。失業保険の申請が先、開業届は後です。開業届を先に出すと事業を始めたとみなされ、失業保険を受け取れなくなります。
私は2026年3月に会社を辞め、この順番を守って失業給付を受け取りました。ただし所定給付日数120日のうち、実際に受け取ったのは57日分だけです。残り63日分を残したまま開業しました。
理由は、子どもの保育園を続けるためです。この判断については記事の後半で詳しく書きます。手続きの順番だけでなく、期限という落とし穴があることを知っておいてください。
失業保険と開業届の正しい順番
まず基本の順番を押さえましょう。ここを間違えると、金額にして数十万円を失う可能性があります。取り返しがつかない部分なので、慎重に進めてください。
私が実際に踏んだ手順を、そのまま公開します。
開業届を先に出すと受け取れない理由
失業保険は、働く意思と能力がありながら仕事に就けない人のための制度です。つまり「求職中」であることが前提になります。
開業届を提出すると、税務署に対して事業を始めたと届け出たことになります。この時点で求職中ではなくなるため、失業保険の対象から外れます。
準備を早く進めたい気持ちは分かります。しかし開業届は、いつでも出せる書類です。急いで出す理由はどこにもありません。
私が実際に進めた5つの手順
私が踏んだ順番は次のとおりです。

- 会社を退職する
- 離職票が届いたらハローワークで申請
- 給付制限を経て受給を開始
- 受給中は収入を得ない
- 受給を終える判断をしてから開業届を提出
私の場合、離職票は退職から1週間以内に届きました。届いてすぐハローワークへ行き、持参したのは離職票と身分証明書、筆記用具の3つです。
自己都合退職の給付制限は1か月
申請してもすぐには受け取れません。自己都合で退職した場合、7日間の待機期間に加えて給付制限があります。
ここで知っておいてほしいことがあります。2025年4月の法改正で、給付制限が原則2か月から1か月に短縮されました。古い記事を読むと2か月や3か月と書かれていますが、現在は違います。
私も1か月の給付制限を経て、5月から受給が始まりました。3月に退職して5月からなので、実際には約2か月空いた計算になります。
- 2026年3月 退職
- 2026年3月下旬 ハローワークで申請
- 給付制限 1か月
- 2026年5月〜7月 受給
- 2026年7月 開業届を提出
退職後にやった手続きの全体像
失業保険だけに気を取られると、他の手続きが後回しになります。私が退職後に対応した手続きは、全部で6種類ありました。
どれも期限があり、放置すると不利益が出ます。全体像を先に把握しておくと動きやすくなります。
ハローワークでの申請と認定
ハローワークの手続きは、申請して終わりではありません。受給中は定期的に通う必要があります。
失業認定日は月に1回でした。認定日は人によって指定される日が違います。また求職活動の実績が必要で、初月は1回、以降は2回以上求められました。
この実績がないと、その月の給付は受け取れません。求人への応募だけでなく、セミナーの受講なども実績として認められます。
健康保険と国民年金の切り替え
退職すると、健康保険と年金は自分で手続きすることになります。会社が半分負担してくれていた分が、そのまま自己負担になります。
私の場合、退職時に会社から説明を受けられたため、遅れることなく切り替えられました。ただしすべての会社が丁寧に案内してくれるとは限りません。
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開業届と青色申告承認申請書
開業届は税務署に提出します。私は初めてだったので、分からない点をその場で聞けるよう税務署の窓口へ直接行きました。
青色申告承認申請書も同時に提出しています。この書類を出しておくと、確定申告のときに税金面で優遇を受けられます。開業届だけ出して、こちらを忘れる人が多いので注意してください。
保育園を続けるための3か月の期限
ここからが、この記事で最もお伝えしたい部分です。保育園に子どもを預けている方は、失業保険を最後まで受け取れない可能性があります。
私はこの制度の存在を知り、63日分の給付を放棄する判断をしました。
就労から求職活動への認定変更
保育園を利用するには、保育が必要な理由の認定を受けています。会社員のときは「就労」という理由で認定を受けていた状態です。
退職するとこの前提が崩れるため、速やかに教育・保育給付認定変更申請書を提出する必要があります。私は認定の理由を「求職活動」に変更して申請しました。
提出期限は、変更を希望する月の前月20日までです。私は2026年4月20日までに提出しています。
求職活動として認められる期間
ここに落とし穴があります。求職活動を理由とした認定には期限があります。
国の基準では、認定を受けた日から90日を経過する日が属する月の末日までとされています。実質的には3か月ほどです。私が市役所で確認したときも、3か月という説明を受けました。
この期間内に就労を証明できなければ、認定は取り消されます。その結果、子どもが退園になる可能性があります。証明の方法は、再就職して就労証明書を出すか、開業して事業を始めたことを示すかのどちらかです。
- 退職後すみやかな認定変更の申請
- 認定期間は原則90日ほど
- 期限までの就労証明の提出
- 提出できない場合は退園の可能性
保育園の手続きで実際に何を出したのかは退職後に保育園は続けられるかに書きました。ただし運用は自治体ごとに異なります。継続して求職活動をしていると認められれば、1回に限り3か月の猶予が受けられる自治体もあります。期間も手続きも市区町村ごとに違うため、必ずお住まいの窓口で確認してください。この記事の内容は、あくまで私が住む地域での一例です。
私が63日分の給付を手放した理由
私の所定給付日数は120日でした。5月から受給を始めたので、最後まで受け取ると9月ごろまでかかる計算になります。
一方、保育園の求職活動としての認定は、4月に申請して3か月です。給付を最後まで受け取ると、保育園の期限に間に合いません。

子どもが保育園を続けられなければ、妻の負担はさらに大きくなります。育児のために辞めたのに、本末転倒です。だから私は7月に開業届を出し、受給を終わらせました。
受け取ったのは57日分で、残ったのは63日分です。半分以上の受給権を、保育園と引き換えに手放したことになります。
ただし、この63日分がすべて無駄になるわけではありません。再就職手当という制度があるからです。次の章で詳しく説明します。
捨てた給付を取り戻す再就職手当
ここまで63日分を手放したと書いてきました。しかし正確には、その一部は取り戻せます。再就職手当という制度があるためです。
私はこの仕組みを十分に理解しないまま開業し、受け取れる割合を下げてしまいました。同じ失敗を避けていただくために、順を追って説明します。
残日数で変わる支給率
再就職手当は、給付日数を残して就職または開業した人に支払われる手当です。会社員として再就職した場合だけでなく、個人事業主として開業した場合も対象になります。
金額は基本手当日額に支給残日数と支給率を掛けて計算します。ここで重要になるのが支給率です。
- 残日数が所定給付日数の3分の2以上 70パーセント
- 残日数が3分の1以上3分の2未満 60パーセント
- 残日数が3分の1未満 支給なし
つまり早く開業するほど支給率は上がります。ただし残日数が3分の1を下回ると、まったく受け取れなくなる点にも注意が必要です。
私が60パーセントになった理由
私の所定給付日数は120日でした。この場合の分かれ目は次のようになります。
- 80日以上残す 70パーセント
- 40日以上80日未満 60パーセント
- 40日未満 支給なし

私が残したのは63日分です。70パーセントの条件である80日には、17日分届きませんでした。受給を40日分で止めていれば、上の区分に入っていた計算になります。
保育園の期限ばかりに気を取られ、この分かれ目を把握できていませんでした。制度を知らなかったことによる、私の判断ミスです。
どちらが得かは人によって違う
ただし早く開業すれば必ず得かというと、そう単純ではありません。支給率が上がっても、基本手当を受け取る日数は減るからです。
再就職手当は残日数の6割から7割です。裏を返せば、3割から4割は受け取れないことになります。この差を事業の収入で上回れるなら、早く開業したほうが有利です。
逆に開業してもすぐ収入が見込めないなら、給付を受け取りながら準備を続けるという判断もあります。ご自身の見通しをもとに計算してみてください。
個人事業主に必要な書類
会社員として再就職する場合、必要な書類は勤め先が用意してくれます。しかし個人事業主は自分で集めなければなりません。
用意するものは大きく2種類あります。ひとつは再就職手当支給申請書や雇用保険受給資格者証といった、申請そのものに必要な書類です。もうひとつが、開業届の写しと、事業が実際に動いていることを示す書類になります。
- 請求書の写し
- 注文書や依頼書の写し
- 領収書の写し
- 入金を確認できる通帳の写し
これらのうち複数点が必要になります。開業したばかりで取引がないと、書類がそろいません。私も書類がそろわず、実際に申請できたのは開業から2か月以上あとになりました。
申請期限は事業を開始した日の翌日から1か月以内とされています。ただし時効は2年なので、期限を過ぎても申請自体は可能です。気づいた時点で、早めにハローワークへ相談してください。
その後、2026年10月2日に申請し、10月22日に248,346円が振り込まれました。自営業で何を求められたのか、窓口で実際にかかった時間は再就職手当は248346円|自営業の申請で必要な書類に書いています。
失業保険と開業届のよくある質問
ここでは、私が実際に手続きを進めるなかで疑問に思ったことにお答えします。不安の多くは、制度を知らないことから生まれます。
気になる項目だけでも目を通してみてください。
開業届を出した後でも失業保険はもらえますか
受け取れません。開業届を提出すると事業を開始したとみなされ、求職中という前提が崩れるためです。必ず失業保険の申請を先に行ってください。
受給中に準備や勉強をしてもいいですか
収入を得なければ問題ありません。ただし報酬が発生する作業をした場合は申告が必要です。私は育児と親の仕事の手伝いに追われ、勉強はほとんどできませんでした。
自己都合退職だと何か月待ちますか
2025年4月の改正により、給付制限は原則1か月に短縮されました。7日間の待機期間と合わせると、約1か月半で受給が始まります。ただし5年以内に3回以上自己都合退職した場合は3か月です。
ハローワークには何を持っていけばいいですか
私は離職票と身分証明書、筆記用具を持参しました。自治体によって写真や通帳が必要な場合もあります。事前にお住まいの地域のハローワークへ確認しておくと確実です。
保育園に預けていても失業保険は受け取れますか
受け取れます。ただし求職活動としての認定期間は3か月しかないため、給付を最後まで受け取ると期限に間に合わない場合があります。私はこの理由で63日分を放棄しました。
残った給付日数は後から受け取れますか
基本手当としては受け取れません。ただし再就職手当の対象になれば、残日数の6割から7割にあたる金額を受け取れます。残日数が所定給付日数の3分の1以上あることが条件です。
再就職手当の申請期限を過ぎたらどうなりますか
原則は事業開始日の翌日から1か月以内ですが、時効は2年です。1か月を過ぎても遡って申請できます。ただし支給が遅くなる可能性があるため、早めにハローワークへ相談してください。
まとめ
退職後の手続きについて、ここまでの内容を振り返ります。
- 失業保険の申請が先で開業届は後
- 自己都合の給付制限は原則1か月
- 求職活動の実績が毎月必要
- 保育園の求職認定は原則90日ほど
- 制度の内容は市区町村ごとに違う
- 残日数が3分の2以上なら支給率70パーセント
- 再就職手当の時効は2年
正直にお伝えすると、退職後は手続きに追われます。健康保険、国民年金、ハローワーク、保育園の認定変更、開業届、青色申告承認申請書と、6種類の書類にかなりの時間を取られました。
それでも焦る必要はありません。分からないことがあっても、窓口の職員の方が丁寧に教えてくれます。面倒に感じる場面もありますが、一つずつ片づけていけば必ず終わります。
会社を辞める前にやっておくべき準備は、会社員を辞める前に必ずやるべき準備7つと貯金額にまとめました。開業届そのものの書き方や、窓口でかかった時間は開業届の出し方は10分で終わるに書いています。
あわせて読んでいただければ、必要な備えが見えてくるはずです。まずは一歩を踏み出してみてください。私もまだその途中にいます。


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